研究概要 |
本研究では,多くの住居について室内音環境を調査してその典型例を見出し,被検者による主観的評価と生理反応をみることとしている。初年度である昨年には,環境・作業環境測定装置NB-13Bにより音を収録し,インターフェースSV-12を介してPC9801NSに表示,プリンタに打出した。数戸での値はL_<Aeq> 43-63dB,L_<Aso>40-59dBで,夜間はそれぞれ20-40dB,40-57dBであった。本年度は前記NB-13Bに加えてB-13Aを用い,住居内での1日間の騒音レベルを遂時的に収録し,その結果をプリントアウト出来るようになった。また既存の精密騒音計NL-14に新規に購入したメモリ装置DA-05を追加し,1日間の周波数分析を逐時的に収録できるようになった。その結果,20戸以上の住居内騒音レベルを測定したが,1日間のレベル変動がきわめて大きいことがわかった。単発音では電灯スイッチ音の40dBから,鉄ドアの閉鎖音の80dBまで,持続音では冷蔵庫の40dBから電気洗躍機の60-75dB,電気掃除機の70-80dBまであった。したがってモデル条件の評価実験をおこなうにしても,典型的な生活パターンを設定しなければ出来ないとおもわれた。また地域特性と屋内騒音レべルとの関係をみると,幹線道路に面する家以外は余り関係がない。しかも,家屋の遮音性能は,その構造によって大差があり,木造住戸木製窓では10-20dB,木造住戸アルミサッシュ窓で15-25dB,コンクリート造サッシュ窓で20-30dBであった。侵入した道路騒音のスペクトルは低高から高音へRC曲線に沿ってレべルが低下し,RCで30-50くらいの範囲であった。以上のような諸条件をふまえて,次年度の測定計画を立てる必要がある。一方,主観的評価と生理的反応については文献検索と脈状,心電図の採取準備ていどきり進めなかった。
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