本研究は農山村部一人暮らし高齢者および都市部寝たきり高齢者の食生活、栄養摂取、食行動の問題点を明らかにし、栄養教育の方法を効果判定を行いつつ探究していくものであるが、前半は農山村部一人暮らし高齢者の食生活のうち、昨年度明らかにし得なかった点をきめ細かく研究した。その結果明確になった事柄は、 1、男性1人暮らし高齢者の1人暮らし期間を延長するための環境づくりの必要性。 2、栄養状態と食品群・栄養素摂取の関連では、「ふつう」者が最も良好な食べ方をしている。 3、男性38.9%、女性25.0%の「やせぎみ」「やせすぎ」者への指導徹底の必要性。 4、対象の保健行動を高めることで、有意に栄養摂取を高めることが可能であること。 5、加療中の疾患のうち最も多いのは高血圧症であったが、男性正常血圧者では2、3、4群摂取が高血圧・境界域血圧者より多く、アルコールは有意に正常者に少なく、女性では、高血圧者は低栄養摂取群に多く、栄養摂取アンバランスが高血圧症を惹起していた。 6、都市部に比し、農山村部一人暮らし高齢者の食生活は個人差が大きく要約しにくい。(以上「栄養食糧学会誌」に投稿予定)である。 次に都市部寝たきり高齢者では 1、寝たきりの原因疾患は脳卒中(38.7%)、骨折(11.7%)、関節系疾患、老衰等20種以上がみられる。 2、80kcal1点法による各食品群摂取点数は、1群2.8点、2群1.4点、3群0.7点、4群0.7点、5群8.1点、6群1.0点、アルコール0.1点の計14.7点であった。 3、エネルギー、たん白質、脂質、糖質の摂取量はそれぞれ1180kcal、50.1g、30.1g、176.5gであった。 4、食品群・栄養素等摂取相関より主成分分析を行ない、対象の食生活栄養摂取を要約する4つの主成分を抽出することができた。第4主成分までの累積寄与率は77.3%である。 5、対象の栄養摂取を良好にするキーフーズは1群である。(以上第47回栄養・食糧学会発表;1993.5.16)
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