研究概要 |
1.本年度,E.Abbeをはじめ1870-1900年代の顕微鏡学-Mikroskopie,光学ガラスの発達とZeiss社・Schott-und-Gen.の研究・開発に関する資料収集は,ほぼ完了した。 2.本年度は,その整理・解析と翻訳を中心に研究活動を実施した。 3.とくにO.SchottとSchott-und-Gen.の光学ガラス研究・関発の過程について,重要な知見が得られた。 すなわち,GTVのガラス製造技術と方法(坩堝や攪拌,プラントー炉設備等)の発達,およびGTV(産業研究所)とNAK-PTR(国立研究所)での,新ホウケイ酸ガラス59^<111>に代表される温度計ガラスの研究・開発,試験研究の分析をつうじて,初期(1880年代末-90年代にかけて)の近代的なガラス研究・開発の歴史的プロセスが,光学ガラスにとどまない全体像として解明されつつある。 その成果は近くとりまとめられ,論文として公表される予定である。 4.Ziogmondyによる限外顕微鏡の発明のプロセスについての研究成果は,分担者の永平によって,1992年5月31日の日本科学史学会年会で発表された(「科学機器としての限外顕微鏡ー発明に至る経過と発明後の諸科学への応用」)。 5.さらに分担者の永平は,自費でドイツに行き,本研究に関わる補充的資料収集と現地調査にあたった(Carl Zeiss社等)。 6.以上の成果は,本研究課題ー「光学顕微鏡の発展と『科学的企業』,諸科学の新しい関連」がもつ現代科学技術史上の意味を,あらためて確認するものといえよう。
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