今年度(初年度)の研究の主要な課題は、史資料・先行研究の収集・整理とビブリオグラフィ-の作成、および関連領域の研究者との研究交流・情報収集であり、それらの作業を介して、合衆国の対独占領スポ-ツ政策の立案・決定および実施過程の究明にせまろうとすることであった。 1.合衆国公文書館国立記録センタ-(WNRC)のRecoed Group260に保存されているOMGUS文書、OMGB文書、OMGWB文書のなかの対独占領スポ-ツ関係文書について、そのタイトルを整理し、下記のことが明になった。 (1)OMGUS文書のなかには、ドイツの非軍事化関係文書をはじめ、連合国の対独占領スポ-ツ政策の基本法規となったACC指令第23号に関係する文書が存在する。 (2)OMGB文書によって、バイエルン州における個々のスポ-ツクラブ・組織の認可過程を明らかにすることができる。 (3)OMGWB文書のなかには、スポ-ツの組織化をめぐる統轄スポ-ツ組織(州スポ-ツ連盟)派と種目別競技連盟派の抗争、および軍政府の対応に関する文書が存在する。 2.関連領域の研究者との研究交流、情報収集をとうして、次のことが明らかになった。 (1)ドイツ戦後スポ-ツ改革を明らかにするうえで、ワ-マ-ル期、およびナチス時代のスポ-ツ動向を把握し、それとの関連をふまえる必要があること。 (2)合衆国の対独・対日スポ-ツ政策には、同国における公共レクリエ-ション政策・運動の影響が存在すること。
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