研究概要 |
今年度(第2年度)の研究の主要な課題は、合衆国の対ドイツ占領スポーツ政策に関する資料を整理し、実証的研究を進めること、および対日占領スポーツ政策に関する関係資料・文献を調査・収集することであった。本年度の研究成果の概要を示せば、次のようになる。 (1)連合国の対独占領スポーツ政策の基本法規となったACC指令第23号の成立過程の分析を通して、英米がソフトな路線、ソ連がハードな路線をとり、両者の妥協のうえに同指令が公布されたことが明らかになった。しかし、その内容は、弾力的な解釈の余地を残しながらも、既存のスポーツ組織の解散と新設組織の郡内への限定という厳格かつ抑制的なものであった。 (2)合衆国の占領スポーツ政策は、1946年末から1947年初頭にかけて転換し、再教育政策との関連で積極策を展開するようになる。転換の要因については、いまのところ明言できないが、現地軍政の実践をふまえた政策修正みならず、本国政府の指令が大きなインパクトを与えた。この政策転換とかかわって、合衆国ビュルテンベルク・バーデン軍政府(OMGWB)は、スポーツの組織化をめぐるドイツ内部の抗争、つまり統轄スポーツ組織(州スポーツ連盟)派と種目別競技連盟派の抗争において、後者を支援した。 (3)OMGUS関係文書の分析に加えて、合衆国の対日占領スポーツ政策を解明するための基礎作業として、GHQ/SCAP教育関係文書のマイクロフィッシュ(satow,Hideo(Ed.):Educational Reform in Japan,1945-1952.Part 1,Congressional Information Service and Maruzen Co.1990.)のなから、約2,000頁分の教育・スポーツ改革関係文書をプリントアウトした。目下、資料を整理中である。
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