研究概要 |
平成3年度研究計画にもとづき,旧制高等学校(以下,旧制高校)におけるスポ-ツ関係史料の調査及び收集作業に集中的に取り組んだ。 第1期(7月下旬〜8月上旬)は,国立国会図書館及び国立教育研究所において,第2期(8月下旬〜11月上旬)は,九州地区を対象として,福岡,鹿児島,熊本,佐賀の各県下県・市立図書館,大学附属図書館において,第3期(12月上旬〜下旬)は,四国地区を対象として,高知,愛媛の各県下県・市立図書館,大学附属図書館において,それぞれ関係史料の調査及び收集にあたった。 以上の作業過程を通じて明らかになった点を総括すれば,次の通りである。すなわち,九州地区における関係史料の保存状況は,遂年的,全体的に見て,ナンバ-スク-ル(第五高等学校及び第七高等学校造士館)を除き,福岡,佐賀高校に関しては未整理分が多きを占めていた。また四国地区においても,高知,愛媛高校に関しては,同様の傾向が見受けられた。このため,散逸している史料の調査及び收集とその整理に相当の時間を要する結果となった。しかしながら,こうした一連の作業過程を通じて,旧制高校におけるスポ-ツの成立とその発展過程を制度的に実証するための基礎的史料となる,「高等学校一覧」及び「校友会雑誌」に関して,九州地区及び四国地区ともに,それぞれ所在地図の作成と收集作業に目途をつけることができた。このことは,わが国における近代スポ-ツの発展過程において,中核的な位置を占めた旧制高校が果たした歴史的役割を全国的レベルで実証していくうえでの手がかりを得たことになるものであり,平成4年度へ向けて,研究計画の継続的な発展の展望を拓くことができたものと評価することができる。
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