研究概要 |
大阪教育大学附属高等学校において、本学4回生が教育実習中に実際の指導を行った23体育授業(柔道)をALTーPE観察法を用いて記録、分析を行った結果、以下のような特徴が明らかとなった。 1.実習生の授業時間配分は、「一般的内容」のうちの「待機」「移動」「マネ-ジメント」等に時間が費される傾向が強く、逆に「体育的内容」の時間が少なくなり、その分生徒の活動面が不足しがちである。 2.実習生の「説明」は、十分生徒に理解されているとは言えず、授業が中断される傾向が強い。 3.実習生の「フィ-ドバック」は、部分的かつ矯正的で技術に関する内容にその大半が向けられている。 4.しかし、これらの欠点は、授業回数が増え、指導教師からの具体的指導(介入)が進むにつれて除々に改善される傾向が認められた。 5.これらの特徴は、従来の他の国内,外の同様の教育実習生に関する授業分析結果をほぼ追認するものであった。しかし、今回のように、複数の実習生による同一対象者,同一種的の指導について分析した事例は数少なく、明確な傾向はつかめないが、同一条件で授業を行った場合においても実習生個人のもつ指導能力、実技能力、パ-ソナリティ等の個人的条件に大きく作用されることが示唆された。 以上の結果を踏まえて、教員養成大学における体育科教育実習生に対する事前の指導にあたっては、(1)実習前に、体育科教育法、体育科教材研究等の専門授業において、体育授業指導に関する基礎的要件の認識,理解を高めておくこと、(2)特に、実際の授業の見学やVTRやスライド等を用いての具体的場面を想定した視覚的、実践的指導を行なうことが必要であると考えられる。
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