研究概要 |
本研究はPeak Performanceをもたらす心理的トレ-ニング効果についての基礎的研究を行うことである.1年目(本年度)の研究目的は (1)優勢脳波Q波,α波,β波を細合して測定できる優勢脳波測定・解折機を試作すること (2)試作した機器を用いてHigh Performance時に生じる優勢脳波,特にα_2波やQ_2波について検討することである。(1)については優勢脳波α_1α_2α_3とQ、βの各波を測定解析できるFM515Sと優勢脳波Q_1Q_2,α_2,β_1β_2各波を測定・解析できるFM515SSを試作することができた。この機器は、安価で操作が簡便かつ軽量で持ち運びが容易であり、野外での実験でも使い易いという特徴をもつ。特に脳波をデジタル信号に変換し、処理して表示するため、ノイズレベルが一桁小さく、処理も速く(約1秒後に優勢脳波の状態を表示する)脳波によるバイオファ-ドバック・トレ-ニングには必須である。このFM515S,515SSを用いて目的(1)の検討を行い、多くの資料を得ることが制きた。すなわち、回転盤追従動作や集中力計を用いた実験では高成績時に優勢脳波α_2波が多くQ_2波の出現量が少ないこと等がわかってきた。さらに射撃の実験では、高成績時に優勢脳波α_2やQ_2波の出現量の多いこともわかってきつつある。これらのことから、運動Performance によって優勢脳波の出現状態が違うことがわかってきた。そこで従来のYerkesーDodsonの法測をさらに進め、低い覚腥水準で高い効果が得られるパフォ-マンスでは優勢脳波α_2波とQ_2が、高い覚腥水準で高い効果が得らるパ-フォ-マンスでは優勢脳波α_2波とβ_1波が増大する時、Higa Performanceとなるとの仮説が導出された。もちろん、個人の性格その他の条件による違いも考えられるので、そうした問題は、2年目以後の課題として残されている。これらの成果は、平成3年11月オ-ストラリアのメルボルんでの国際会議(スポ-ツ心理学)で発表された。
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