研究概要 |
長時間自転車作業後に高糖質食を摂取することにより筋グリコ-ゲンが過剰に増加した(ロ-ディングという)脚では、テスト運動中において次のような影響が心臓血管系の応答に示された。 1、同一負荷のテスト運動であるにもかかわらず,ロ-ティング前よりも低い心拍出量の応答が示された。又、酸素摂取量も低かった。 2、心拒出量の低下を招く要因として,心拍出量を構成する,一回拍出量と心拍数の因子について検討してみたが,一回拍出量の因子は,ロ-ティングの前後間で有意な変化がみられないにもかかわらず,心拍数の因子はロ-ティング後に有意な低下を生じることが示された (1%水準で有意差が示された)。 3、ロ-ディング後の脚では,解糖系のエネルギ-代謝への動員を表すと考えられる血中乳酸の生成量が有意に増大していた。つまり筋グリ-コ-ゲンが増加すればする程,筋はそれを代謝するように働くことが示唆された。 4、主働筋におけるIEMG(筋電図積分値)の値をグリコ-ゲンロ-ディング前後間で比較すると、むしろロ-ティング後には、高いIEMGを示していた(5%水準で有意差が示された)。 これらの結果から,筋グリコ-ゲンロ-ディングされた脚による運動は,心拍数の低下を招き,心拍出量の低下をさらに導き,ひいては運動中の動脈血圧の応答を低下させるという影響を及ぼすといえるだろう。このような心拍外の低下を介する動脈血圧の低下を招く生理学的背泉として,主働筋の代謝の変化に伴う筋線維の動員様式の変化が(この場合には速筋線維の優先的動員が生じたと考えられる),心拍数の応答を決定する心血管中枢への入力量を低下させたことに起因するのではないかと考えられた。
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