研究概要 |
食餌脂肪の中でもとくにオレイン酸リッチなオリーブ油の摂取は、絶食及び運動時の組織グリコーゲンの節約に対して顕著な効果を与えることが明らかにされている。本研究では動物を用い、食餌脂肪としてオリーブ油をカロリー比率で5%,20%及び40%のレベルで摂取させ、それぞれ8週間飼育した場合の組織グリコーゲンの節約効果について検討し更にその生化学的機序について、脂肪酸の酸化利用を実証する立場から筋肉組織における酵素Citrate synthase(CS)及びβ-Hydroxyacyl CoA dehydrogenase(HAD)活性を検討することにより絶食及び運動条件下での脂肪酸酵化の動態を明らかにしようとした。その結果、筋組織におけるCS及びHAD活性については、とくに40%olive群で有意に高い活性値を示した。そのことは、組織グリコーゲンレベル及び血清グルコースレベルが顕著に維持されたことや、血清遊離脂肪酸レベルが著しく増加していた現象を裏付けるものである。本研究で得られた顕著なグリコーゲン節約効果は、オリーブ油を多食した生体において細胞内ミトコンドリアでの脂肪酸の酸化利用が活発したことが重要な要因の一つとして考えられるところから、単価不飽和脂肪酸であるオレイン酸を多く含むオリーブ油がカロリー比率で40%程度含有することが好気的代謝能力の促進に対して有効であろうと思われる。
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