研究概要 |
(実験I及びII)本研究では食餌脂肪としてオリーブ油を用い5%,20%,40%のレベルで各々8週間飼育した動物に絶食及び運動を負荷し血清エネルギー基質レベル,組織グリコーゲンレベル及び筋肉Citrate Synthase(CS)ならびにβ-hydroxyacyl CoA dehydrogenase(HAD)活性を検討した。血清FFA値は絶食により5%及び20%oliveで変動が認められなかったのに対し40%oliveでは著明な増加を示した。運動負荷条件下ではいずれも顕著に増加した。肝及び筋グリコーゲン量は絶食及び運動により5%,20%oliveで減少する様子がうかがわれたのに対し40%oliveでの変動は余り認められなかった。腓腹筋及びヒラメ筋のCS活性は20%及び40%oliveで絶食負荷により高い活性を示した。また運動により40%oliveで顕著に高い活性が認められた。HAD活性は運動負荷により40%oliveの活性が有意に上昇した。(実験III)本研究では大学生男子7名を対象として単価不飽和脂肪酸高含有脂肪であるオリーブ油を6週間摂取させた場合の内分泌機能や運動時のエネルギー代謝に与える影響について検討を行った。その結果オリーブ油非摂取群(NOG)において運動により血清FFA値は著明な変動は認められず血清グルコース値は減少する様子にあったのに対しオリーブ油強化食群(OG)では血清FFA値が運動により顕著に増加し血清グルコース値の減少は緩慢であった。血清乳酸値はNOGで増加したがOGでは有意な変動を示さなかった。運動時の呼吸商についてはOGで6週目に運動開始後20分経過時点以降低下する様子にあった。さらに血清グルカゴン値はOGで運動により増加する傾向がうかがわれた。以上,オリーブ油の多食が運動時の脂肪酸酸化を亢進させていることが動物及びヒトを対象とした実験で示された。さらに,その亢進を促す要因の一つとして内分泌系機能の適応的変動が考えられた。
|