研究概要 |
[中性金属型エンドセリン変換酵素の精製と特性解析] エンドセリンを産生するブタ肺を材料にして,その膜分画から,39残基の非活性型ビッグエンドセリンー1から活性型21残基のエンドセリンー1への変換活性をもつ酵素を精製し,その特性解析を行った。精製は疎水クロマトグラファ-,DEAE陰イオン交換,ゲルろ過クロマトグラフィ-を行った。 [結果]2種(M1,M2)のエンドセリン変換活性をもつ酵素を検出し,いずれも膜結合型中性金属プロテア-ゼであった。M1は糖タンパク質である,ビッグエンドセリンー1のみを切断し,他のビッグエンドセリンは切断せず、内皮由来の変換酵素とほとんど同一特性をもっていた。一方,M2は腎臓などに多く存在するプロテア-ゼ,ニュ-ロエンドペプチダ-ゼ24.11(NEP)と非常によく似ていた。M1酵素の阻害剤として,ホスホラミドンが有効であり,その有効濃度はμM濃度であり,NEPのnM濃度とは明かに異なっていた。 [考察]以上のことから,エンドセリン産生組織,肺には,エンドセリン変換活性をもつ金属プロテア-ゼが存在することが明らかになった。またビッグエンドセリンー1からエンドセリンー1への変換はホスホラミドン感受性であり,NEPとは異なるプロテア-ゼにより細胞内で起こることが示唆された。ホスホラミドンおよびその誘導体は,(1)一種の降圧薬となり得る可能性を示しており,(2)M1酵素選択的な阻害剤を開発すべきこと,(3)エンドセリンー1特異的酵素の存在から,さらに他のエンドセリンー2およびー3特異的酵素の在存する可能性が示唆された。
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