研究概要 |
1.エンドセリンを産生するブタ肺を材料にして、その膜分画から、エンドセリン変換酵素を精製し、特性解析を行った。2種(M1,M2)のエンドセリン変換活性をもつ酵素を検出し、いずれも膜結合型中性金属プロテアーゼであった。M1はビッグエンドセリン-1のみを切断し、内皮由来の変換酵素とほぼ同一の特性をもち、一方、M2はニュートラルエンドペプチダーゼと非常によく似ていた。M1酵素の阻害剤として、ホスホラミドンが有効であり、ホスホラミドンおよびその誘導体は、降圧薬となり得る可能性が示唆された。 2.ビッグエンドセリン-1のin vivo昇圧機構の解析in vivo投与したビッグエンドセリン-1がいかに昇圧活性を発現するかを解明するために、(1)臓器に蓄積した標識big ET-1分子型の解析、また(2)標識big ET-1を培養内皮細胞および平滑筋細胞と反応させたときの分子型を解析を行った。その結果、上記いずれの場合も標識big ET-1のET-1への変換が実際に起こっていた。big ET-1がin vivoで昇圧活性を持つのは、変換酵素により生成したET-1が引き起こすと結論した。 3.ET-2を産生するとヒト腎線腫瘍ACHN細胞を用いて、ET-2の生合成経路とET-2変換酵素の特性について検討した。その結果、中間体(big ET-2)は38個のアミノ酸残基であることが判明した。また、ET-2変換酵素のpH依存性、基質特異性、プロテアーゼ阻害剤の効果、分子量、クロマトグラフィー特性を解析し、内皮細胞由来のET-1変換酵素と比較した。ET-2変換酵素はホスホラミドン感受性中性金属プロテアーゼであり、big ET-1に対して最も高い酵素活性を持ち、ET-1変換酵素と同一あるいは非常に似た酵素であることが分かった。
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