研究概要 |
1.磁性細菌の大量培養方法の確立(平成3年度) 本細菌の大量培養方法を検討したところ、アスコルビン酸の添加や気相部分のガス置換などの方法を用いることにより10Lスケールの大量培養に成功し、1.3g/10Lの菌体を得た。 02.磁性細菌の呼吸鎖電子伝達系成分の精製(平年3年度〜4年度) 本細菌からc型チトクロムとcd1型チトクロムを精製した。チトクロムc-550は分子量は約9000、そのN末端アミノ酸配列(1〜40番目)は光合成細菌のチトクロムc2と高い類似性を示した。また、このチトクロムcは本細菌の膜画分によりずばやく酸化され、本細菌の呼吸鎖末端酸化酵素の電子供与体として機能していることが明らかとなった。チトクロムcd1は磁石を有する菌体のみから精製でき、その分子量は59000、ヘムcとヘミd1を持つ。細胞内では亜硝酸還元酵素として機能しているいるが、その生理的電子受容体は不明である。一方、磁性細菌から新規なヘムタンパク質を精製し、その諸性質について調べた。本ヘムタンパク質は膜結合性であり、その分光学的性質はチトクロムa1に極めて類似していたが、ヘムaを持たず、これまで報告されていない新しい型の2種類のヘムを持つことがHPLC及びFABによる分析で明かとなった。更に本ヘムタンパク質はチトクロムc酸化酵素活性を示さず、本細菌の呼吸鎖電子伝達系末端酸化酵素ではないことが明らかとなった。 鉄還元酵素の精製(平成4年度) 3.磁性細菌の可溶性画分に他の細菌では観察されない至適pHを中性付近に持つNADH、鉄還元酵素活性が存在することを見いだし、その鉄還元酵素の精製を試みた。その結果、本酵素は分子量51000、Vmaxは170nmol・min/mg,Kmは4mumであることが明らかとなり、現在マグネタイト生合成系との関係を検討している。
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