動物細胞に存在する疎水性リガンド結合蛋白群について構造と機能相関の解析・細胞、組織内分布の検討による生理機能の解析を行った。 1.ラット肝FABP(Z-protein)について、イソアスパラギン酸105をもつ新しい分子種を同定し、その生物活性との関連を考察した。 2.光化学反応を利用した親和性標識試薬を用い、脂肪酸結合蛋白における疎水性のリガンド結合部位を決定し、この種の蛋白における機能ドメインを同定した。またオレオイルイミダゾリドが脂肪酸結合部位を同定するのに有力な試薬である結果を得た。 3.疎水性の発ガン物質であるアミノアゾ色素の結合部位を同定し、疎水性リガンド結合蛋白の細胞内スカベンジャーとしての役割を示すと共に、ミクロソームの低張処理画分などに、従来、知られていないアゾ色素結合蛋白を2種見いだした。 4.外来の物質との接触の最前線にあると考えられる小腸の上皮より、新規の疎水性リガンド結合蛋白を単離し、その全構造を明らかにした。 5.体液の濾過、再吸収の機能をもつ腎臓より、2種の脂肪酸結合蛋白を単離構造解析し、一つがリポカリンと呼ばれる、疎水性物質結合蛋白の一群に属するα2-u-ミクログロブリンであることを明かにするとともに、心筋に存在する脂肪酸結合蛋白と同一の蛋白が腎においても機能していることを示した。また、この二つが腎臓においてことなった組織分布をしていることを示した。
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