研究概要 |
FGFファミリ-ペプチドは多様な生理作用を示すと共に,発生分化の場においても重要な役割を果していると考えられる。最初に単離されたFGF受容体であるFlgはImmunoglobulin(Ig)様ドメインを細胞外にもつ,チロシンキナ-ゼ型受容体であり,Ig様ドメインを2個あるいは3個もつ二つのisoformが存在する。さらに,flg以外にも,すくなくとも3種の異なったFGF受容体(bek,FGFR‐3,FGFR‐4)が存在することが明らかになっている。 我々はFlg遣伝子の構造解析よりflgの二種のisoformはaltenative splicingにより生成し,また,その発現は臓器特異的であることを明らかにした。さらに,FGFファミリ-ペプチドとしてよく知られているaFGF,bFGFが多く存在する脳について,その各発達段階(ラットE19,P2,P11,P28,P56)におけるflg遣伝子の発現を調べたところ,いずれの段階においてもIg様ドメインを3個もつものが主要なisoformとして,ほぼ同程度発現していた。一方,aFGF,bFGF遣伝子の発現は,いずれも,E19,P2脳では極めて低く,aFGFはP28脳より、6FGFはP11脳よりその発現が増加していた。従って,flgはすくなくとも,脳の発達初期段階ではaFGF,bFGF以外のFGFの作用を受けており,aFGF,bFGFは発達した脳の神経栄養因子として作用しているものと考えられる。 また,ラット全embryo(E19)でのFGF受容体遣伝子ファミリ-の発現を調べたところ,すくなくとも,3種のFGF受容体遣伝子(flg,FGFR3,FGFR4)がほぼ同程度発現していることが明らかになった。
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