研究課題/領域番号 |
03680148
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
開 祐司 大阪大学, 歯学部, 講師 (40144498)
|
研究分担者 |
鈴木 不二男 大阪大学, 歯学部, 教授 (40028717)
|
キーワード | 骨形成 / 成長因子 / 細胞外基質 / 線維芽細胞成長因子 / 細胞分化 / Chondromodulin-I / Chondrosurfactant / 軟骨細胞 |
研究概要 |
我々は、basic FGF(bFGF)存在下に軟骨細胞のDNA合成を強力に促進する因子をウシ胎仔軟骨から精製しChondromodulin-I(ChM-I)と命名した。昨年度には、精製ChM-Iの部分アミノ酸配列をもとにChM-I cDNAの分子クローニングに成功し、その全構造を報告した。ChM-Iは、121残基のアミノ酸からなる糖蛋白で、膜貫通部分をもつ前駆体蛋白のC末端部分として生合成されることが推定された。そこで本年度は、ChM-I cDNAを発現ベクターに組み込んで生合成機構を検討すると共に生物活性を検定した。 すなわち、ChM-I前駆体cDNAをpcDL-SRα296に組み込んでCOS細胞に発現させ、前年度に作成した抗ChM-Iペプチド抗体を用いてwestern blotを行なった。回収された培地中に精製ChM-Iとほぼ等しい分子量約25kDaを示す幅広いバンドが検出された。そこで、COS細胞の培養上清から、発現された組換えChM-Iをヘパリンカラム・逆層HPLCを用いて精製を行なって、そのN末端アミノ酸配列を決定した。得られたアミノ酸配列は、ウシ胎仔組織から精製した天然型ChM-Iのそれに完全に一致した。また、Thr^9は、天然型と同様に糖鎖が付加していると考えられた。これらの結果は、ChM-I前駆体蛋白質が発現されると、糖付加を受けると共にそのアミノ酸配列から予想されたプロセシングシグナル部位で切断を受けて成熟型ChM-Iとして細胞外に分泌されることを示している。このようにして得られた組換えChM-Iをウサギ肋軟骨細胞培養系に添加するとプロテオグリカン合成ならびにbFGF存在下に相乗的にDNA合成を促進した。すなわち、組換え体は、天然型ChM-Iと同等の生物活性を保持していることが明かとなった。
|