研究概要 |
目的:カエルでは、哺乳動物の副腎に相当する臓器は中腎組織である。カエルの中腎組織のミトコンドリアにおけるアルドステロン合成活性はウシなどと比較して高いことが知られている。カエルのアルドステロン合成酵素の性質を調べ、哺乳動物のそれ(P450(11β)あるいはP450(11β,aldo))と比較する目的で、本酵素のクローニングを行った。 方法:食用ガエル(Rana catesbeiana)の中腎組織からcDNAライブラリーを作成し、ウシ副腎P450(11β)cDNAをプローブとしてスクリーニングした。3種類の独立したクローンについて蛍光プライマー法で塩基配列を決定した。 結果:20,000個のファージをスクリーニングして21個のポジティブクローンを得た。このうち、比較的に長いクローン、1.9,1.9,1.7kbの独立したクローンを各々シークエンスしたところ、5'-noncoding領域の長さ、poly A tail、poly A tail開始直前の塩基配列が少し異なるだけで3種とも同じ塩基配列を持っていた。最長のクローンは全長1,919b、openreading frameは190-174bで517アミノ酸をコードしていた。約45個のアミノ酸からなるエクステンションペプチドを含む。成熟酵素部分の相同性はラットのP450(11β)およびP450(11β,aldo)と比較して約47%および51%であった。活性の発現を調べたところ、デオキシコルチコステロンを基質として、コルチコステロン、18-ヒドロキシデオキシコルチコステロン、18-ヒドロキシコルチコステロン、アルドステロンの生成を認めた。以上の結果はカエルでは単一の酵素がデオキシコルチコステロンからアルドステロンまでの全ての反応を触媒することを示している。
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