研究課題/領域番号 |
03680175
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
棚瀬 純男 熊本大学, 医学部, 助教授 (20112401)
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研究分担者 |
桧垣 強 熊本大学, 医療技術短期大学部, 助手 (70128304)
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キーワード | アミノ基転移酵素 / アスパラギン酸 / ピリドキサール / アミノ酸残基置換 / 触媒機能 / 酵素構造 / サブユニット構造 / 遺伝子工学 |
研究概要 |
ブタ細胞質局在アスパラギン酸アミノ基転移酵素(cAspAT)は、強固な二量体構造をとり、各サブユニットは、大小の2つのドメインから構成されている。大ドメインに存在するintersubunit surfaceでの相互作用やアミノ基末端側小ドメインの4〜11残基と隣接するサブユニットの大ドメインとの相互作用により二量体構造が保持されていることが、X線結晶解析により明らかにされている。また、それぞれの活性中心が他のサブユニットのアミノ酸残基の関与により構成されていることから、本酵素の活性発現には二量体構造が必須と考えられている。本研究では、大ドメイン間におけるイオン結合を構成するアミノ酸残基や、アミノ基末端部での相互作用に関与するアミノ酸残基群に、遺伝子操作法を適用し、特定部位にアミノ酸置換と欠失をもつ変異酵素を系統的に作成し、その標品の諸性質の検討と野性型二量体酵素との比較により酵素の全体構造と機能の関連を知ると共に、本酵素の機能発現の分子機構を解明しようとした。大ドメイン間サブユニット相互作用に関与すると想定されるHis68を同じ正電荷を持つLysや疎水性のIleに置換した結果、この残基の持つ正電荷が相互作用に必須であり、またIleに置換した酵素の安定性が低下することから酵素構造の維持に重要な役割をはたしていることが指摘された。前年度の研究でアミノ基末端部の欠失のみでは単量体に解離しないが、構造安定性が低下する事実が判明したので、His68をIleに置換した変異酵素のアミノ基末端部を欠失させたところ、単量体への解離を観察した。しかし、構造安定性も同時に失われたため触媒機能の有無の詳細な検討を行うに到らなかった。
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