研究概要 |
γ(X)線の細胞致死作用に高感受性である末梢血管拡張性運動失調症(ataxia telangiectasia,AT)患者由来リンパ芽球様細胞が6TG抵抗性変異(X染色体上のHPRT遺伝子に起こる変異)について正常人由来細胞と変異誘発作用が大きく違わないことが判っているが、常染色体16番上のAPRT遺伝子での変異を検出するDAP抵抗性変異に関しても果して差がないのかを明らかにしようとした。予めAPRT制限酵素多型について2.5kb、3kbの異型接合であることを確認済みのATP1ー1細胞を特異的フレ-ムシフト(点突然変異の一つ)誘発剤の1CR 191 0.5μM、24hrの処理を行ったところ、4. 9×10^<-5>の高率にDAP100μM抵抗性変異体が得られた。得られた変異体クロ-ン(7つ)のサザ-ン・ブロットではすべて3.0kbか2.5kbの何れかのみが残存する異型接合性喪失(LOH)を示し、AT細胞では正常遺伝子座位喪失につながる様な欠失、組換え、染色体不分離などのゲノム変化がきわめて頻繁に起こっていることが示唆された。すでにaprtである2.8DHA尿路結石症保因者由来細胞で+/-→-/-の自然突然変異は約10^<-5>であることが判明しているので、正常人由来細胞におけるaprt+/+→-/-あるいは-/0への変異は10^<-5>×10^<-5>=10^<-10>よりは高くないと予想される。従って、APRT正帯対立遺伝子が消失しやすいゲノム不安性がATiーi細胞の固有の性質と考えられた。 APRT遺伝子のexon3にEcoーgpt遺伝子をプロモ-タ-、ポリA配列と共にtandemに導入して失活APRT遺伝子を作成した。これを電気穿孔法で6TG抵抗性AT1ー1細胞に導入し相同組換え体を得るべく努力中である。
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