研究概要 |
わが国においては,横浜・神戸・長崎の3都市にのみ中華街(チャイナタウン)が形成されており,それらすべてが観光地として存在している。本研究では,このことに注目して,1)日本における中華街の観光地化が,いつごろから,どのように進んできたのか,2)そのような観光地化の進展の要因は何なのか,という問題について考察することを目的とした。 本研究は2年計画で進めており,その1年目の本年度は,まず,中華街および在日華僑全般に関係する文献・統計・新聞雑誌記事などの資料収集を行った。そして,収集した資料を本補助金で購入したパソコンで整理し,デ-タベ-スを作成した。 また,本年度は,横浜・神戸・長崎の中華街を対象に,インテンシブな現地調査を実施し,中華街の形成過程や現状などに関する資料を収集した。そのほか,東京・大阪・仙台などにおいても,かつて中華街に居住した在日華僑から聞き取り調査を行った。 それらの結果,わが国においては,中華街の観光地化が進んだのは,比較的最近のことであることが明らかになった。横浜中華街の観光地化が急速に進展したのは,1970年代に入ってからである。その後,1980年代に入り,神戸の南京町,そして長崎新地中華街が,相継いで観光地のシンボルとなる中国式楼門を建設したり,春節(旧正月)祭などのエベントを開催し,中華街の観光地化が促進されていった。 研究計画の最終年度にあたる来年度は,各地の中華街の観光地化に関する比較考察を深め,観光地化の要因についても分析するとともに,再度の現地調査を実施し,研究のまとめを行っていく予定である。
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