研究概要 |
本研究では,横浜中華街・神戸南京町・長崎新地中華街の3地区の中華街を研究対象に,それぞれの地区において,わが国における中華街の観光地化の進展とその意義について考察を行った。本研究は2年計画で実施したが,本年度はその最終年度にあたる。 本年度も,本補助金で購入したパーソナル・コンピュータにより,昨年度同様,収集した関連文献のデータベース作成の作業を引き続き行った。また,東京・横浜・神戸・長崎において,研究資料の収集および現地調査を実施した。これらの結果,以下のようなことが明らかになった。 横浜中華街を筆頭に,日本チャイナタウンは,いずれも当該都市における重要な観光地となっており,このため,チャイナタウンの諸機能は,華僑よりも日本人を重要な対象としているところに,大きな特色がある。この点,東南アジアや欧米のチャイナタウンにおいて,現地在留の華僑に対するサービス機能の重要性が高いのとは対照的である。 中国文化の伝統を,観光資源として積極的に利用したチャイナタウンの観光地化は,在日華僑の日本社会への最も特徴的な適応形態であろう。また,日本におけるチャイナタウンは,日本人が抱いてきた中国イメージが具現化された街であるともいえよう。
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