(1)都市気候資料の収集と解析:最近、東京都の環状八号線道路上空付近に主として夏季に発生する雲(環八雲)に着目し、その発生日の気温・風向・風速などを調べることによって環八雲の発生要因を気候学的に解明した。環八雲は、1)相模湾からの南寄りの海風と東京湾からの南南東寄りの海風とが環状八号線付近で合流し、収束帯を形成すること、2)日中、環状八号線付近にヒ-トアイランドが出現すること、以上二つの条件が重なりあって形成される雲であると考えられる。 (2)レ-ザ-レ-ダ-の機能増設:第1号機(30mW)の3倍の出力のある、高出力半導体レ-ザ-(90mW)を発注した。レ-ザ-のパワ-アップにより、レ-ザ-レ-ダ-の観測精度が大幅に改善されるものと期待される。 (3)レ-ザ-レ-ダ-の試験観測:7月18ー19日および26日、つくば市気象研究所にて、試験観測を実施した。夜間の観測では、地上3kmまでのエアロゾルおよび地上12kmまでの雲の空間分布を測定ができることが判明した。日中の観測では、地上2kmまでの雲の雲底高度を測定することができた。 (4)ヒ-トアイランド収束雲の予備観測:7月29ー31日、8月19ー24日、および9月4ー6日、環状8号線に隣接する東京都立砧公園(世田谷区)にて、延べ60名の学生を動員して、この収束雲の観測を行った。平成3年の夏は不順な天候が続き、典型的な気圧配置が出現せず、観測は失敗した。しかし、平成4年の夏に予定している本観測のためのノウハウを蓄積することができた。
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