研究概要 |
島弧と大陸の火山の地形的特徴を明らかにするために,大縮尺の地形図を空中写眞・文献を用いて,多くの火山の地形分類図をつくることを第一段階の目標としている。本年度はフィリピン・メキシコ・アメリカ本土の火山に的をしぼり,約300枚の地形分類図を作成した。地形分類図作成途上で明らかになったいくつかの知見の概要をのべる。 フィリピンの火山のうち,ルソン島北部では東西両側からのプレ-トの沈み込みによる強い圧縮により,成層火山・カルデラ火山が発達し,日本の東北部と似る。プレ-トの沈み込み,縁海の拡大などの複雑な影響を受けたとみられるミンダナオ島では楯状火山が卓越する。 メキシコの中央地溝内には数1000に及ぶ小型〜中型火山が密集し,その間に大型成層火山,大カルデラ火山が散在する。小型〜中型火山は玄武岩貭のスコリア丘・溶岩流から,中型の楯状火山から成層火山,流紋岩貭の溶岩円頂丘火山まで多様である。大カルデラ火山はヴァイアス型で大量の流紋岩貭火砕流を噴出している。地溝内はいたる所に正断層が発達,張力場であることを示している。そのためか火道数は1万に近い。 アメリカ合衆国西部には大小数千の噴出源がある。火山地域は北西部のスネ-ク川溶岩原〜イエロ-ストンカルデラ火山地域,カスケ-ド火山地域,アリゾナ・ニュ-メキシコ州に散在する溶岩原からなる西南部火山地域に三大別される。大部分の地域に正断層が発達し,張力場であることを示すが,火山も溶岩原,楯状火山など日本列島には認められないものが多い。 得られた知見をもとにデ-タベ-スを作成し始めたが,まだ各この地域の火山を総括し,その一般的特徴を明らかにするところまで到達していない。今後より多くの地形分類図を作成することを通じて,世界各地域の火山の性格が明らかにされると予想される。
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