平成3年度の入手したアラスカ・USA本土・メキシコなどに加え、平成4年度には不可能と思われていたコスタリカ・エクアドル・コロンビア・ニカラグア・ルーマニアの地形図が入手できた。これから地形分類図を作成あるいは作成しつつある。この結果200葉を超える地形分類図が作成された。これらから火山の底径・比高・体積・基本単位地形面などのデータを平成3年度に購入したパソコンに入力、カタログを作成しつつある。最終的には各火山の発達史を明かにし、火山型を決定することをめざしているが、ここでは得られた2・3の知見をのべる。 1)ルーマニアの火山はカルパチア山脈の南西側に平行して存在する。その大部分が第四紀前半に活動した直径20km前後の成層火山であるが、火口・カルデラ・外輪山斜面などの地形がかなり良く保存されている。特に南西端では溶岩円頂丘・爆裂火口・火砕流堆積面などの地形が明瞭に認められる。成層火山のあるものは山体中心部の溶岩流を主体とする急斜面と火砕流・土石流堆積物を主体とするらしい緩斜面とが区別できる。これらは日本の成層火山に一般的に見られる特徴である。大陸衝突帯の火山の例として貴重なデータが得られることが期待される。 2)ニカラグアの火山は成層火山が多い。溶岩流・溶岩円頂丘・爆裂火口・小カルデラ・馬蹄形カルデラ・岩屑なだれ堆積面など見事な地形が認められ、日本の火山の地形と類似点が多い。ともに島弧上にあるということから妥当と考えられるが、正断層地形が認められる点で、今後慎重に検討する必要性がある。 3)エクアドル・コスタリカの火山は直径10-20kmの成層火山が大部分を占める。溶岩流・火砕物を主体とする点で日本の成層火山とは区別がつかない。エクアドルでは氷食による侵食・堆積の地形が顕著で、比高-底径の比の値を用いて火山体の形態を議論する場合には注意を要する。
|