研究概要 |
平成5年度は3・4年度に得られたデータの整理とそれに基く考察が主体であった。なおデータの収集とその整理・検討も継続して行われた。これは、たとえば2年半前に購入依頼したニカラグアの地形図の一部が平成6年1月に入荷するなど、予定していた地域の火山の必要な資料が平成3・4年度中に得られなかったためである。このため得られた資料に限りがあり、報告書としてまとめた地域はフランスAuvergne,ドイツEifel,アメリカ合衆国北西部、アメリカ合衆国南西部、アメリカCalifornia州、ルーマニア中央部、イタリア、メキシコ中央部、ギリシャ、南米アンデス、ニュージーランド北島、アメリカ合衆国Cascades、インドネシアJava,Bali島、フィリピンに限られた。これらの地域の火山の地形分類図を地形図として400枚以上、小型火山も含めると2000以上の火山について作成した。この地形分類図から個々の火山の型を推定し、それぞれの地域と火山型の特性を明かにして、プレートテクトニクスの視点から他の地学的諸現象と対応させながら、火山の生成の過程・機構についての手がかりを得ようと試みた。その結果大陸地域には溶岩原・小楯状火山が多いが、マグマの供給が長期にわたると成層火山や大カルデラ火山が生ずること、沈み込み帯でも大陸の厚さ、沈み込むプレートの厚さや速度・温度などで火山型・発達史に差異が生ずるらしいこと、同じ沈み込み帯でもプレート同士が押し合う強さに応じて火山型に差異が生ずるらしいこと、などがわかった。
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