研究概要 |
1.視細胞cGMP分解酵素(PDE)の阻害サブユニットをリン酸化するプロテインキナ-ゼの精製:現在論文作成中である。カエル視細胞桿体外節より何段階かのカラムクロマトグラフィ-によって、Pγとみられる分子量13,000の低分子タンパク質とそれを基質とする視細胞では初めて存在が確認された新しいタイプのプロテインキナ-ゼが強固なコンプレックスを形成していることを発見した。このプロテインキナ-ゼはPKC,PKA,Ca^<2+>/カルモジュリンキナ-ゼ、ロドプシンキナ-ゼのいずれでもなく、今の所既知のプロテインキナ-ゼとの類似性が判定できていない。分子量13,000の基質タンパク質がPγであるとすれば、ある種のプロテインキナ-ゼがPDEの調節を行うこのサブユニットとコンプレックスを作ってその阻害活性を奪う役割を担っている可能性が高く、視細胞の感度調節の新たな分子メカニズムとして重要な意味を持つものと考えられる。現在この作業仮説の有効性を検討中である。 2.視細胞のcGMP合成酵素(グアニレ-トサイクレ-ス:GC)のCa^<2+>感受性賦活因子リカバリンの作用機構の解明。これに関しても現在論文作成中である。^<125>Iーで標識したリカバリンを用いて,Ca^<2+>の無い時にリカバリンと結合するタンパク質を視細胞桿体外節を構成するタンパク質の中から検索し、リカバリンが或る重要なタンパク質と結合し、その結合はCa^<2+>感受性である事が分かった。現在、このタンパク質とリカバリンの結合が視細胞の光感受性や順応現象理解のキ-ポイントを握るGCの調節にどう関与しているのか検討中である。
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