研究概要 |
1.酵母S.pombeの活性酵素感受性株の分離と防御遺伝子のクローニング 活性酸素増産剤Plumbaginに感受性を示す突然電異株を約400、放射線にも感受性を示す株を約50分離した。新しい放射線感受性株M12を相補する遺伝子radM12をクローニングした。この遺伝子は、S.pombeのI番染色体に存在し、474bp、6つのエクソンからなる新しいUbiquitin-conjugating enzyme E2をコードする。また、この遺伝子はストレス適応遺伝子で、checkpoint repairの制御に関わると推定されたた。radM12をプローブとして、ヒトcDNAライブラリーよりradM12のcounterpartの分離を進めている。 2.酵母の活性酵素適応応答系の解析 S.pombeのゲノム断片に大腸菌のlacZ遺伝子を連結した融合遺伝子ライブラリーを作成し、S.pombeに導入し活性酸素等のストレスにより発現が増加する酵母の遺伝子71個を単離した。これらのlacZとの結合部分のDNA塩基配列を決定して26の遺伝子を確認した。これらは殆ど新しい遺伝子であり主として2次的に発現していると推定された。 3.CHO・K1細胞の活性酸素増産剤感受性変異株の分離と解析 CHO・K1細胞より分離したPlumbagine高感受性変異株のうちMethyl Viologen(MV)に対しても感受性の高い4株は、MVに対してI,II,IIIの遺伝的相補グループに分けられた。このうちIとIIの株は、活性酸素を生成しDNAに架橋などの障害を与えるMitomycin Cやcis-Pt(II)にも高感受性であり、DNA損傷の修復に欠損があると推定される。グループIIIでは、そのcytosolで安定ラジカル消去能の減少が認められた。これらの変異株の生化的分析を進めると同時に相補するとヒト遺伝子のクローニングを進めている。 4.その他、この課題の発展に必要な遺伝子クローニングのための技術開発、またDNA修復や活性酸素の生成、消去に関連する研究を行った。
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