研究課題/領域番号 |
03680232
|
研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
五十嵐 吉彦 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (50049235)
|
研究分担者 |
市村 薫 獨協医科大学, 医学部, 助手 (40213011)
木村 一元 獨協医科大学, 医学部, 研究員 (30049241)
木原 裕 自治医科大学看護短期大学, 物理, 教授 (20049076)
梶田 昭彦 獨協医科大学, 医学部, 名誉教授 (80049113)
|
キーワード | ヘモシアニン / Panulirus japonicus / Procambarus clarki / Macrocheira Kaempferi / Linulus polyphemus / submultple / 小角X線散乱 / サブユニット・アセンブリ |
研究概要 |
当研究の目的は、X線結晶回折により解析不能である巨大生体分子の水溶液中の構造をX線小角散乱法により推定することにあった。平成3年度は、6量体構造を持つイセエビ・ヘモシアニン(Hc)のX線小角散乱測定を行い、その結果と1)から3)のモデルより計算される散乱パターンと比較した。1】大球モデル:6量体の準基本単位(submultiple)を1個の球とみなしたモデル。2】小球モデル:subunitを1個の球とみなして6個の球で準基本単位を作った。subunitはX線結晶解析に従い配置したモデル。3】原子座標モデル:X線結晶回折像で得られたsubunitのα炭素原子座標を球の中心にしビーズ状につなげた。subunitの配置は2)モデルと同じとした。 3)のモデルは1),2)のモデルよりも実測のデータに近いパターンを示した。このことから6量体のイセエビ・Hcにおいて、X線結晶解析により得られた構造とX線小角散乱により得られた水溶液中Hcの構造は、ほぼ同じであった。平成4年度は、今までX線結晶解析されていない12量体Hcとしてカブトガニ(腿口類)の1/4量体、タカアシガニ(甲殻類)、アメリカザリガニ(甲殻類)を用いた。submultipleの構造はイセエビと同じと仮定して、2),3)モデルについて以下の組み上げ方を検討した。a】submultipleの中心軸を結んで積み重ねたモデル。b】submultipleの側面同士を重ねたモデル。 その結果、腿口類12量体カブトガニ・Hcの構造は、b〕モデルを採っていた。甲殻類ザリガニならびにタカアシガニの12量体Hcはsubmultipleの積み重なり方がa)となっていた。2種の綱の異なる生物のHcではsubmultipleの立体配置に差があることが明かとなった。また、方法論として溶液X線散乱法は巨大分子のsubunitの分子構築を推定するのに強力な手段であることを示すことができた。
|