研究概要 |
本研究は,小・中学校において,児童・生徒が植物の多様な生殖方法と繁殖様式を学習する中で,そこに共通する“子孫を殖やし,分布を広げる"ということをどのようにして把握させていくかを検討し,それに適した教材を開発するとともに,教育現場での試行を通して適切な教授法を開発することを目的としている。 今年度は,1.陸上の高等植物だけでなく,藻類や菌類の有性生殖と無性生殖についてもその教材性を検討した。2.昨年度に続いて,高等植物の様々な繁殖様式をスライド及びビデオに記録し,視聴覚教材を作製した。3.昨年度開発した観察・実験教材を用いて授業を行うための教授法を検討し,児童・生徒用の観察・実験マニュアルと教師用指導マニュアルを作成した。また,今年度新たに教材となりうることがわかった藻類や菌類についても,観察・実験条件及び教授法を検討した。4.開発した観察・実験教材及び視聴覚教材を用いた授業を,東京都荒川区及び大田区内の公立中学校で行い,生徒及び指導教諭の反応を調べた。事前・事後の質問紙調査の結果,この授業によって生徒の生殖や繁殖についての認識が深まり,広がったことがわかった。また,指導教諭からは,教材の有効性が指摘された。5.二年間にわたる研究の成果をまとめて,研究成果報告書(52ページ)を作製した。 今後の研究課題として,観察の難しい有性生殖の過程あるいは多様な無性生殖の様式を限られた授業時間内でどのように教えていくか,児童・生徒のまわりから次第に失われていく観察・実験教材をどのように確保していくか,といったことが挙げられる。
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