研究概要 |
本研究は継続研究の2年めで,最終の年にあたる。そこで研究課題の後半の部分に力点をおきながら研究を進めてきた。 体系化ということについては,小学校を焦点にあてながら,問題を類別する試みをして,成果をあげている。それは,発見の問題,分類の問題,数量化の問題,構成・分解の問題,その他の問題であり,オープンエンドの問題を考える上での視点を与えたものである。例えば,構成・分解の問題では,中学校での作図などもあてはまり,中学校図形領域のひろがりをもたらすものである。 さらに,数と計算,量と測定,図形,数量関係と組み合わせ,格子を作成し,空欄部分を補充すべきことを明確にした。例えば,発見の問題ー量と測定に属するものはこれまで考えられていないので,今後こういった方向をうめることにより,カリキュラムが豊かになるであろう。 オープンエンドの問題の価値に関しては,数学的価値はこれまでも指摘されていたが,数学の人間的側面の認識につながること,つまり現実世界と密接にかかわることにより,それが可能となることを示すことができた。 問題の開発にあっては,「部屋わりの問題」が小学校5年,6年,中学校1年で多数取り上げられ,同一問題による教師の提示の仕方によって,子供の反応が変わることが明確に現れた。これほど顕著にかわるのはオープンエンドの問題のもつ性質の1つであり,それが浮きぼりにされたといえる。 具体的に本年度は小学校で7事例,中学校で5事例が収集され,小,中の教師が一緒になって研究を進めていく大切さを知らされた。また,教育実習生を対象としてオープンエンドの問題に対する意識調査を行い理論と実践に開きがあることがわかった。
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