本年度は、まず、一人一人の生徒に、次の4つのStepを確実に保証することのできる新しい幾何の学習指導法を確立した。 (Step 1)学習に必要な知識・概念{Ci}を準備する。 (Step 2){Ci}を適用する場としての図形{Fj}を準備する。 (Step 3){Ci}を{Fj}に適用して得られる情報{Ik}を収集する。 (Step 4){Ik}を結合して色々な命題とその証明を同時につくり上げていく。 生徒達が自らの手で色々な幾何の命題とそれらの証明を同時につくり上げていく上記の機荷の授業ではlowーachieverとhighーachieverの共存が可能である。そこで、米国のCaliforniaのMathematics Councilから依頼されて、その機関紙に論文“A FourーStep Process for Meeting the Needs of All Students in the Geometry Classroom"を発表した。 次に、我々は、上記の学習が、パソコンを使って展開していくことが可能なことに着目して、そのソフトを開発し、それを使って実際に授業を実施した。 その結果、一人一人が学習を始めてから、何分、何秒後に、どんなことをどのように考えていたかが、すべて、一枚のフロッピイディスクの中に記録することができることから、これまでには得られなかった個人の学習・思考特性に関する精密な情報が得られることがわかった. 上に述べたような、生徒達が自らの手で数学的命題とその証明をつくり上げていく学習に対応して、生徒達が自らの手で問題とその解答を同時につくり上げていくような新しいテストを作成することができる。 そのようなテストを作成・実施し、従来のペ-パ-テストにはなかったどのような特性があるのかを明かにしていくのが来年の仕事である。
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