(a)自らの手で、問題を見つけたり、つくったりして、それを解決していく能力・態度を育成することの重要性がことあるごとに指摘されながらそうした能力・態度を育てる学習指導法の原理も評価方法も確立されていない。その原因は生徒達に数学をつくらせる方法が明確にされなかったことにある。“A Four-Step Process for Meeting the Needs of All Students in the Geometry Classroom"において、生徒達が自らの手で幾何学的命題とその証明を同時につくり上げていくことができる学習指導法の原理を示すことができた。 更に、「数学的思考を進展させるための5つの活動に関する測定と評価」において、上記の原理に基づいて、生徒達が自らの手でいくつもの幾何学的命題とそれらの証明を同時につくり上げていくことができるような授業の設計原理を明確に示すことができた。 (b)平成四年度における最大の成果は何といってもコンピュータによる生徒達の(幾何学的命題とその証明をつくり上げていく)思考過程の復元の成功である。 生徒達が、コンピュータのディスプレイ上にマウスを操作するだけで幾何学的命題とその証明をつくり上げていくことができる。そのようなソフトウェアを開発した。 コンピュータがそのプロセスを正確に記録していることを利用するのである。 このように、数学的思考過程を正確に復元して、それを評価していく方法は、従来の知識・技能中心の評価から個の特性を明かにし、それを活かしていく全く新しい評価を生み出していくであろう。 それは、単に評価にとゞまらず、新しい数字の授業研究の方向を示すものとしても注目されている。
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