本年度は昨年度に引き続き、総合学習に関して、主に国際理解と人権教育の視点から諸資料の収集を試みてきた。そしてそれらを踏まえて本研究全体のまとめに着手した。前者については複数の学校の総合学習的実践の資料を収集したが、とりわけ2つの学校に注目した。1つは文部省の教育課程の研究開発校として実験を進めた東京都千代田区立錦華小(現、お茶の水小)である。既存の教科枠をはずし新たな教科を設置し、社会科理科は高学年まで「環境科」として解消された。教科再編という立場から迫まったものである。もう1つは横浜市立中村小の実践である。中村小は在日韓国・朝鮮人を主体とした人権教育、国際理解教育に取り組む学校で、その中心にオリニクラブという民族クラブが設けられ、それに関連した社会科学習の改善が目ざされた。同校では社会科という教科を基盤に、その中でいかに幅広い立場から教育内容を組織するのかが課題である。以上の点も含め、今年度は研究全体のまとめを行った。さきに述べた通り、総合学習を国際理解、人権教育の視点からその歴史的分析、現状分析、その上での提言を試みた。
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