平成5年度は、過去2年間の成果を基にコンピュータによる教育法をまとめ、CAIの作成を行なった。 CAIの作成については、最近徐々に普及しはじめている、CDロムを用いた。CDロムを用いる事の利点は、第一に、膨大な量の情報を一枚のディスクに記録することができる点である。デジタル録音による音やヴィデオで映した映像は、情報量が膨大になり、これをコンピュータにとりこんで学習ソフトを作る場合いろんな問題があった。しかし、CDロムを用いることによって質の高い音や映像を簡単にソフトの中に組み込むことができる。CDロムのもう一つの利点は、ハイパーカードを基本としてソフトを作ることができる点である。ハイパーカードとは、各項目ごとの情報を一枚一枚のカードに入力できるシステムである。それぞれのカードには、文字だけではなく音や映像なども入力することができる。したがって、学習すべき最小の単位を一枚のカードにまとめ、それを階層的に組み立てていくことが可能なのである。 CAIの作成に際しては、前年度研究で明かにしたコンピュータの役割を充分考慮した。学習をより面白く進めるために、教材を一つの楽曲に絞り、この曲の学習を通して音楽全般の学習ができるように試みた。今回選んだシューマンの“子供の情景"は、いくつかの性格的小曲が集まって一つの楽曲を構成しており、それぞれの小曲を一つの学習単限とすることができた。学習内容は、理論的なものが軸となっているが、音楽の諸側面を統合的に学習できるよう工夫してある。
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