| 研究概要 |
1.明治期の滋賀県下小学校の社会認識教育に関して、明治初年の県教育行政資料,県内湖東・湖南地域の小学校所蔵資料の調査を行った。
(1)明治期教育行政資料では,「薄冊目録」から学事関係記事の目録づくりを行い、発掘した布達書目録より明治4年ー16年の教育関係布達ー覧を作成した。これは明治期の滋賀県教育行政の販取図を作るためである。また,近江八幡市江頭文書から学事年報・巡視功程の資料を発見し,従来の県教育史の空白を埋める資料と評価できると考える。
(2)旧蒲生郡,栗太郡,甲賀郡の郡内各小学校の沿革誌類・学校日誌・公文書の調査を行い,資料の複写を行った。とくに,旧甲賀郡の小学校沿革誌および所蔵教科書の調査では,信楽小学校や水口小学校の貴重な明治期郡役所文書を始め,地域版教科書である「甲賀郡地誌」(高谷柳台編)他を収集した。これらはすべて資料目録一覧を作成した。
2.滋賀県の動向を全国的視野から位置づける研究として、都道府県教育史の調査と県下の市町村史の教育史の調査を,明治期から現在まで年表に整理した。刊行一覧にまとめると,全国で戦前・戦後を通じて滋賀県教育史が一度も出ていないことが目を引いた。体系的な資料収集が行われておらず,教育制度資料とともに実践資料の調査も,今後の課題であることがわかった。県下市町村史の教育史編の叙述はこの状況を反映して,概して平板な叙述のものが多い。
3.明治初期の郷土教科書として,県地誌・郡地誌など郷土地誌(地理)や郷土史,郷土読本(滋賀県管内小学校読本),習字や修身や博物などが刊行されていることを確認し,現物を複写した。この教科書内容を分析することと,滋賀県下の教育雑誌「滋賀県私立教育会雑誌」のバックナンバ-を収集することは,次年度に行う。
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