本年では次のことを目的として研究がなされた。(1)これまで収集し、分析してきた社会科教授メディアを参考にして、モデルとなる社会科教授メディアの設計と試作開発をすることによって、社会科教授メディアの開発方略を具体化する。(2)研究成果を活用して、社会科教授メディアの理論と開発に関する授業科目を計画・実践することによって、教師教育のカリキュラムと授業実践の改善をする。 その結果、文字・静止画・動画・音声などの多様なメディア形態をコンピュータ上で取り扱えるハイパーメディア教材のモデル開発を行った。具体的には、小学校社会科5年生の単元「日本の自動車工業」を、「(1)自動車と私たちの生活」「(2)自動車産業の発展と私たちのくらし」「(3)自動車のまち豊田市」「(4)自動車工場をたずねて」「(5)自動車の開発」「(6)シート工場をたずねて」「(7)自動車と貿易」「(8)自動車と環境」の8小単元構成として、映像資料50本、写真150枚以上、グラフ15点、地図15点、図表10点を活用したハイパーメディア教材である。そして、これらの小単元の教材は各メディアを関連づける仕方によって異なるデータベース構造・チュートリアル構造・ハイパーテキスト構造に基づいたものとなっている。また、「社会科教授メディア論演習」の授業科目において、本研究で開発した「日本の自動車工業」のハイパーメディア教材と昨年度までに収集していた学習ソフトウェアを取り上げて、それらの活用実験及び評価を行った。なお、本年度の研究成果については、日本教育工学会第9回大会(武庫川女子大開催)にて、「社会科ハイパーメディア教材の設計と開発-小5『自動車工業』を事例にして一」の題目で発表をした。
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