本研究は、国内外において研究・開発されている社会科教授メディアをてがかりとして次の5事項を研究目的としている。(1)国内外の社会科教授メディアを収集する。(2)収集した国内外の社会科教授メディアに関するデータベースを開発する。(3)データベースの活用によって社会科教授メディアを内容と分類し、各分類ごとに典型的社会科教授メディアを事例として、それらの構成理論を解明する。(4)解明した構成理論に基づいて、モデルとなる社会科教授メディアの設計と試作開発をすることによって、社会科教授メディアの開発方略を具体化する。(5)上述の研究成果を踏まえて、社会科教授メディアの理論と開発に関する授業科目を計画・実践することによって、教師教育のカリキュラムと授業実践の改善をする。 その結果、予算の制限から学習ソフトウェアを中心に収集した。そして、それらはこれまでに収集していた教授メディアとともにデータベースに入力した。収集した教授メディアの中から、特に小学校社会科に関する学習ソフトウェアを対象として、それらの基本的性格を学習形態と学習活動の視点から類型化し、各類型に属する典型的事例を分析した。さらに、小学校社会科授業実践において活用される学習ソフトウェアの課題を指摘した。 社会科教授メディアのモデルとしては、文字・静止画・動画・音声などの多様なメディア形態をコンピュータ上で取り扱えるハイパーメディア教材を開発した。具体的には、映像資料50本、写真150枚以上、グラフ15点、地図15点、図表10点を活用した小学校社会科5年生の単元「日本の自動車工業」のハイパーメディア教材である。また、「社会科教授メディア論演習」の授業科目において、本研究で開発した「日本の自動車工業」のハイパーメディア教材と昨年度までに収集していた学習ソフトウェアを取り上げて、それらの活用実験及び評価を行った。
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