本年度の研究では、前年度に引き続いて、バウハウスとヴフテマスにおける視覚言語教育に関する資料を基に、それぞれの教育課程における内容の考察を行った。バウハウスとヴフテマスの視覚言語の教育は、基礎教育の中に見られ、それらは、主として、今日でいうところのデザイン教育に関連している。 「デザインとデザイン教育-基礎教育のもつダイナミズム-」の論文において、まず純粋美術から視覚言語の抽出と出現に考察し、美術教育におけるデザインと視覚言語の位置づけを行った。そして、普通教育と専門教育におけるデザインと視覚言語の教育について考察し、特にバウハウスではモホリ=ナギー、ヨハネス・イッテン、ヨーゼフ・アルベルスの行った基礎教育ついて述べた。さらに、ヴフテマスの基礎教育の中では、前年度のロドチェンコに加えて、マレーヴィッチのシュプレマティズムとの関係から視覚言語の教育について、基礎教育を中心に考察を行った。 視覚言語の教育が美術科教育の中で、直接的に見られるのはデザインと構成の教材である。そこで「美術科教育におけるデザイン教材の展開」では、中学校美術科での構成とデザインの教材における視覚言語の教育的役割と、小学校図画工作科での造形遊びにおける視覚言語の教育について述べ、中学校美術科の文字のデザインの教材について具体的に授業を通じて、視覚言語教育の実践を報告した。 小学校図画工作科、中学校美術科の教科書のそれぞれの教材に関して、視覚言語の観点から分析を行い、データベースに教材の入力を行っている。
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