研究概要 |
本研究の主たる目的は授業中の子供全員の皮膚抵抗反応を測定することにより,従来の質問手法等による研究からは見いだせなかった,理科教授学習過程についての新しい知見をみいだすことにある. 本年度研究発表してきたものの成果の一部として,理科授業進行における発問応答過程において,授業者の発問に対して長時間沈黙が続く場合,その対処の仕方として,ベテラン教授者と新米教授者との比較で,子供たちの皮膚抵抗反応デ-タから,ベテラン教授者の場合は長時間沈黙が続いても同じ発問を繰り返すのみか,または何もしゃべらずそのまま何等かの応答があるまで待ち続けていることがわかった.このとき,皮膚抵抗反応のデ-タからは子供達の応答はないが,しかし思考は充分なされており,注意が充分集中されていることがわかった.しかるに,新米教授者の場合は長時間沈黙がおこりかけると,すぐに何等かの絞り込み発問をおこなう傾向にある.この絞り込み発問で、はじめの発問の内容の視点を焦点化していく発問の場合はその思考をさらに深めるが,はじめの発問の内容の視点を移動化する発問の場合は,注意が集中し,充分に思考がなされかけている状態をこわしてしまう等のことがみいだされた. また,別の視点からの研究では教授者の言語行動を含めた教授行動において,多くの子供達の皮膚抵抗反応が同時的に反応する授業場面を取り出し,多変量解析的方法でまとめたところ,6因子に要約できた.これらの因子は教授者教授方略にもなりうるものであり,授業設計に有効に使えること等がわかってきた. 当該年度以外で得られた成果を含め、得られた成果をVTR制御タイプCAIによる教育実習生訓練システム等にも組み入れ,教育実習事前指導にもちいることを計画している。
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