本研究の主たる目的は授業中の子供全員の皮膚抵抗反応を測定することにより、従来の質問手法等による研究からは見いだせなかった、理科教授学習過程についての新しい知見をみいだし、さらに、得られた結果は教育訓練のための実用システムにまで高めることにある。 本皮膚抵抗反応の我々の研究から、皮膚抵抗反応は新奇性を伴う刺激に反応するという定位反応であること以外に、極度に注意が集中される場合には皮膚抵抗反応は消失するということが見いだされた。 そこでさらに、この知見をもとに幾つかの新しい知見が見いだされたそのひとつとして、教授者の言語行動を含めた教授行動において、多くの子供達の皮膚抵抗反応が同時的に反応する授業場面を取り出し、多変量解析的方法でまとめたところ、 (] SY.encircled1. [)子供に応答や反応を期待する。 (] SY.encircled2. [)実験や実物提示、ビデオ、OHP等によって子供を活性化させる。 (] SY.encircled3. [)教授内容そのものにびっくり性をもたせて、探求心をかきたてる。 (] SY.encircled4. [)子供がしらなかった新しい概念や知識を説明する。 (] SY.encircled5. [)教授者のユーモアを通して、子供の感性を刺激する。 (] SY.encircled6. [)K・Rをおこなう。 等の場面で反応していた。これらの因子は教授者教授方略にもなりうるものであり、授業設計に有効に使えること等がわかってきた。 また、これらの知見から、その有効性はほぼ確かなものと考えられるので、これらの知見を実用化システムに組み入れた。ひとつは教育実習前の実習生に対してのもので、“教育実習生訓練のためのVTR制御タイプCAI"である。他は、授業参観している教育実習生ないしは現職教員にも可能な授業スキル訓練のためのシステムとして、“皮膚抵抗反応測定装置を組み込み、実時間的に皮膚抵抗反応から授業評価できる、教育実習生訓練のためのメタ授業へのコンピュータシステム"をも作成し、現在、試験的に使用し、その実用化に向けて進行中である。
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