本年度は表記「本年度の研究実施計画」にある3点を実施するのが目的であった。本研究は2年度にわたる研究の初年度であるため、本年度に実施する予定であったそれら3点は、いずれも本格的な研究の基礎としての予備的、準備的な色彩が強い。(1)の研究史的な文献整理はほぼ完了した。(2)の資料整理もおわり、次年度の琵琶湖での本格的な調査が目途がたった。ウオ-タフロントという言い方をされることが多いが、湖岸の管理と土地利用について、分析のポイントを絞ることがよいと、資料整理を通じて判断できた。(3)については、かなりつっこんだ調査をした。横浜市、神戸市、西宮市、福岡市の各市役所を実際に訪問し、担当職員から、生活環境保全と地域づくりについて具体的な市としての活動内容をヒヤリングできた。そのヒヤリングをつうじて、生活環境保全についての行政と住民の協力のありようの具体例をさぐる必要を痛感し、本年度から顕著な動きとなったリサイクル運動を調査した。調査票をつうじて調査した結果は、すでにコンピュ-タ-に入力も完了した。 住民たちは生活環境保全として、いわゆる「ゆとり」志向に向っており、「ゆとり」という開発論になじみにくい発想を今後政策としてどのようにモデル化するかを問われているように思える。本年度で、基礎作業と予備的な調査がおわり、大体の方向がみえてきたので、その成果を報告できると判断し、来年度8月アメリカのペンシルバニアで行なわれる世界農村社会学会で、「Life environmenalism model in densely populated communities」というタイトルで本研究の成果の一部を発表する申込をすでに完了した。また来年5月に東京で行なわれる地域社会学会のテ-マ部会でも本研究の一部を発表することが内定(学会担当者からの報告依頼を承諾した)している。
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