本年度は昨年度に引き続いての、実態調査に加えて、「まとめ」および分折にかなりの時間をさいた。ひとつは地域生活環境の一般的論理を作成するために、短期間の調査を数カ所行った。とくに「まちづくり」運動とリサイクル運動に注目した。そして、「まちづくり」運動がかつてのコミュニティ形成論の延長線にあること。それはコミュニティ形成よりも、よりハード部分の形成をも意図しているために、地方自治体との連携がよりつよいことも知られた。この「まちづくり」運動は必ずしも本人たちが「まちづくり」運動と捉えていない歴史的な伝統を持った活動(たとえば秋田県角館)などにも注目し、歴史的環境保存運動との関連性も探ってみた。またリサイクル運動が単に物のリサイクルを越えて、たいへんな勢いで、ライフスタイルの変更を迫っている実態をも捉えた。 行政の地域計画、具体的には区計画についても、行政側の好意的な協力によりかなり深く探求することができた。そして住民側の問題点として、住民の主体性、計画能力、代表性の3点があること。また、行政側の問題点として、地域平等主義が結果として地域の個性の生育を阻んでいることを指摘した。 また、本研究の固有の視点をつくっている自治会の土地占拠のあり方についても継続的に調査し、その土地占拠権が自治会の生活環境破壊などに対しての行政や業者に対する発言権の強さと結び付いている実態を明らかにした。
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