教育の分類として、しばしば家庭教育・学校教育・社会教育の3つがあげられる。今日では、子どもの成長過程にしめる影響力は、学校教育の比重が著しく高くなっていることは周知のとおりである。もちろん他の2つが無視されてよいはずもなく、この3者がそれぞれ有機的に機能しあうことによって、子どもの健全な発達が可能となる。このうちとくに今日では、社会教育は、子どもをとりまく教育環境からたえて失なわれている。本研究は近世から近代初頭にかけて、地域社会の教育が、いかなるものであったかを五人組に代表される隣保制度に着目して、とらえなおすことを意図している。従来学会であまりとりあげられることのなかったテーマだけに、関連研究が乏しく、萌芽的研究の最終年度も、基本史料・文献の収集それにともなう神奈川県域を中心に地域の教育機能の実態解明につとめてきた。
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