研究課題/領域番号 |
03801026
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
泉 幽香 国立民族学博物館, 第五研究部, 助手 (40110077)
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研究分担者 |
森田 三郎 甲南大学文学部, 社会学, 教授 (80100890)
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キーワード | 念仏踊 / 盆行事 / 祖先祭記 / 五才別人口統計 / 長子相続と非限定相続 / 農・漁業後継者 / 就業・就学動向 / 六調子・八調子 |
研究概要 |
今年度は、昨年度に引き続いて長崎県五島列島の福江島に、八月一三〜一五日の盆の現行の行事の一環としての各地区の青年団或は近年変貌の著しい保存会による“念仏踊り"を、特に福江市一〇地区のうち上大津、下崎山と吉田を除く地区の“チャンココ"を対象として映像記録した。集落の各家の祖先供養として、初(新)盆の仏壇飾りやその脇に新たに盆棚をしつらえた家々の中庭や庭先で見守る家人や親戚の面前で、またムラの共同墓地の入口で、また請われればその墓地内の家墓で行われる“部落回り"は、地域によってある種の了解がありまた状況によっても多少変化のある六調子や八調子とかそのフュージョンといったパーカッシブな鉦の主導で、太鼓を打ち、一声多唱或いは掛け合い方式での唄に合わせて地区毎に特徴のある装束と振りを伴って踊られる。 その"踊り手集団"の中心であった青年団も島外への就業や就職の為の若年層の流出によって必要な人数が確保出来ず、ここ2〜3年でその補充に1)高校生のアルバイトを雇ったり、2)もっと上の年齢層を採り込んだ伝統の技芸を伝承する有志からなる保存会化傾向を辿る地区も見られる。流出人口と人口のリターン現象を地区毎に把握すると同時に地元での就業状況及び再就業、再び或は後の相続との関連で先ず現行のチャンココ執行集団の構成員の分析をし、長子相続と非限定相続への足掛りにしたい。特に今回は、盆に先立つ八月七日からの行事に注目して:1)この日夕方から一四日の部落回り迄の間に初盆の家回りを済ませてしまう。大浜と堤地区 2)練習に“神さん参り"と称して由緒ある石碑や地蔵、井戸や墓の在った辻などでチャンココを行い、最後に寺で踊り、一〇日か一一日の施食供養に参加する。上・下崎山地区 3)その晩、町内会長の家で地区の役員の面前で初踊りしチャンココの経費の寄附を受ける。野々切や旧本吉地区の一部。以上もう一つの範疇が見られる。
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