今年度の研究では、146作品の映画から幾つかの英語表現を検索し、映像を見ながら、ある語句が、どのような人物によって、どのような状況で使用されるかを調査した。調査した英語表現の1つに、米国の高校に留学中の服部剛丈君が1992年10月17日に射殺された事件で話題となったFreezeという語がある。 映画からFreezeを検索すると、146作品中48場面で使われていた。その中で、「動くな!」という意味で使われるFreezeは、38場面(全体の79%)あった。38場面の中で、Freezeと言う人物が相手に銃を向けている場面が25場面あり、この用法のFreezeが話し言葉では1番多いことが確認できた。「動くな」という意味でFreezeが使われている38場面の中で、警察関係者がFreezeを使う場面が一番多く、16回ある。しかし、警察関係者以外も、日常会話の中で子供や高校生が「動くな!」という意味のFreezeを使うことが確認できた。映画でFreezeと言った人物が銃を相手に向けて撃つのは、4場面ある。その4場面とは、Freezeと言われた相手が銃を撃ってきた2場面と、相手が銃を撃とうとした2場面である。映画では、Freezeと言われても、相手が銃で抵抗しようとしない限り、銃で撃たれることはなかった。銃を相手に向けながらFreezeが使われている最も古い映画は、1983年製作のStar Wars II:Retum of the Jediであり、それ以前の映画には、この使用例はなかった。 英語字幕データベースの映像のデータを利用することによって、文字データでは得られない情報が利用できるようになり、口語英語の研究・教育に対して貴重なデータを提供することが可能となった。
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