本年度の調査は、一部.二部上場その他の日本企業を対象として、郵送方式による調査を行った。発送が2月上旬であったこともあり、現在サンプル数は300程度である。 経済のグローバル化に伴い、金融、貿易そしてメーカーを中心に日本企業の外国籍知識労働者の採用は拡大しつつある。しかし、語学教育や外国語文書の作成、及び国際化のためのイメージアップのレベルから、彼らを組織の戦力や基幹社員として位置づけしようとすると、双方から諸々の問題が生じるようである。それらの問題点を整理すると次の通りである。 1〕外国籍知識労働者では、個人主義とキャリア・ディベロップメントの意識が強く、この点が日本企業にとって一般的な従来の年功型かつ単線型の人事処遇制度と多くの点でコンフリクトを引きおこしている。 2〕組織内のコンフリクト状況では、欧米系とアジア系外国籍知識労働者とでは、多少の違いが存在している。後者の方が日本企業で働くメリットが多い事、又文化的同調への志向性が強いこともあって、コンフリクトのレベルは低い。 3〕外国籍知識労働者を採用する場合、企業サイドの採用の目的を明確にしておくこと、又雇用条件を双方で確認しておくことが重要である。今後の方向性としては、人事処遇制度を単線型から複線型へ、そして組織活動や意思決定プロセスを出来るだけ明確にしておくことが思ましい。
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