今回の調査では、アジア系と欧米系知識労働者とでは、その雇用形態において大きな違いがあることが明らかにされた。前者では正社員としての雇用が一般的であるが、後者では契約、嘱託が中心的であった。また、キャリア意識においては、欧米系は会社を移りながら昇進、出世していくというパターンが一般的とされており、一つの会社に留まろうとしないイメージが強いが、調査結果では、むしろジョブ・ホッピングには消極的なものであった。転職志向は強くなるとしながらも長期の就労は計画していないという事実は、日本での就労が欧米系知識労働者にとっては、それほど魅力的なものとしては受け止められていない事を意味している。とくに、正社員であっても、必ずしも長期的な就労を計画していない事は注目される点である。就業計画においても、最も影響を与えると思われる条件の一つが、昇進可能性であった。就業計画別に昇進の機会と可能性についての満足度を見ていくと、「ある一定の条件を満していれば、できるだけ長く働きたい」とするグループの満足度が、最も高くなっていた。 他方、人事担当者から見ても、日本経済のグローバル化に対応して、外国籍知識労働者の活用や管理といった問題は、より重要性をもってくるであろう。しかし、彼らの多くは日本と母国との2カ国間のビジネスにおいて能力を発揮し、戦力になっているにすぎない。英国圏の出身者は、対象領域が多少広いかもしれないが、そのままでは地域スペシャリストにかわりはない。この意味において、彼らの語学能力や外国人としての感性は、現在のところ貴重ではあるがグローバルなものでないことは認識する必要がある。この意味において、彼らの能力を2カ国間の地域スペシャリストではなく、真にグローバルなレベルに高めていく教育システムや能力開発のプログラムが必要となるであろう。
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