研究課題/領域番号 |
03804018
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
木村 一宇 理化学研究所, 反応物理化学, 研究員 (40087614)
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研究分担者 |
中川 和道 神戸大学, 教育物理, 助教授 (00134403)
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キーワード | イオントラック構造 / Bragg curveの分裂 / 高密度励起 / イオン励起 / ヘリウムエキシマ- / トラックのその場観察 / オ-ジェフリ-発光のLET効果 / 高リュ-ドベリ電子の内核空孔遷移 |
研究概要 |
a)凝縮系ヘリウムにおけるイオントラック深さ分解発光測定 イメ-ジングファイバ-を利用しイオントラック深さ分解発光測定装置を開発し、これまでに例の無いトラックの深さ分解の励起状態ダイナミクスの直接測定を行った。ヘリウム試料ではこの系での発光は全てヘリウムエキシマ-によること、それらのエキシマ-は全て最低トリプレットエキシマ-間の2分子反応によって生成されることを明らかにした。トラックに沿っての発光強度の変化は、この反応に対する高密度励起で説明できた。更に、トラック未端において、Bragg curveの分裂等新しい現象が発見できた。Bragg curveの第2ピ-クは高密度励起ではなく、イオン速度の明確な関数であるなどから、直接励起や荷電変換過程が主たる過程となることを示した。この測定方法を発展させ液体や固体試料を測定する計画が文部省科研費されたので、対象試料を拡大し発光だけでなく吸収もできる装置の開発にはいった。 b)BaF2結晶のオ-ジェフリ-発光に対するイオン照射効果 BaF2は非常に珍しいことであるが、浅い内核励起に対して通常ならオ-ジェ-電子放出過程をとるところ、それをしないで発光過程をとかつ、その発光過程が非常に速いことで、固体物理学、原子物理学上、また高速検出器への応用上から注目されている。一方、イオン照射では照射後数100psの間だけオ-ジェフリ-発光が観測され、その寿命はイオンの質量の増加とともに短くなることを見いだした。これの解明のため、発光の高速decay測定装置を開発した。時間分解能は100PSで、他に例を見ない速さである。結果、decayは2重指数関数に分解されることが分かった。これを基に、イオン励起では、オ-ジェフリ-過程に対して放出された電子(高Rydberg電子)の空孔への無輻射遷移が競合するモデルを提案し、実験結果の多くはイオンによる高密度励起効果によると説明した。
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