花粉外膜が、それぞれ独自の構造と表面模様をもっているBougainvillea属植物、Ipomopsis属植物、Illicium属植物、Nuphar属植物、を用いた。Bougainvillea属植物の花粉粒は網目模様をもつ3溝孔粒型であり、明確なColumellae構造があると言う特徴があり、Ipomopsis属植物の花粉は、特異的な線条紋の表面模様をもっており、Nuphar属植物の花粉の表面には多くの針状突起があります。これらは、主に野外に生息している植物である。これらの植物について、花粉母細胞の減数分裂期から成熟花粉にいたる花粉形成過程に見られる小胞子および発達しつつある花粉の表層構造系の変化を超高分解能走査電子顕微鏡および透過電子顕微鏡を用いて微細構造のレベルで追跡した。具体的には、野外でこれらの植物をサンプリングし花粉母細胞から成熟花粉にいたる適当な発育段階の雄蕊を光学顕微鏡で確認しながら切断し、小片化した後で、急速凍結固定およびパラホルムアルデヒドとグルタルアルデヒドにて化学固定した。オスミウム酸にて二重固定後、脱水処理し、TFー1型を用いて、凍結割断面を作製し、超高分解能走査型電子顕微鏡にて、連続的な発育段階に従って花粉外膜のパタ-ンが決定されていく過程を3次元的に解析した。一方、急速凍結固定および化学固定サンプルを通常の方法で樹脂に包理し、ウルトラミクロト-ムで超薄切片を作製した。この超薄切片作製のために、ダイヤモンドナイフを使用した。電子染色後、透過型電子顕微鏡にて観察、写真撮影をした。以上の方法によって得られたデ-タを従来の文献等と比較、解析をし、研究成果を取りまとめることによって、花粉外膜パタ-ンの決定機構の普遍性と分類群による独自性を明らかにしつつある。Bougainvillea属植物とIpomopsis属植物についての研究成果は、2つの論文として国際学術雑誌に発表した。
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